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今では米国の有力な経済学者の殆どが、積極財政論者なのだ!(その3前半)
(その2)第1章の要約の続き
「日本を滅ぼす消費税増税 」菊池英博氏著から抜粋。
現在の日本では、財務省&マスコミの嘘に騙されて「均衡財政が善」 で「公共投資は悪」と考えてしまう人が本当に多い。
これを正すのは大変だが、丁寧に論述を辿るしかないと思い各章毎に要約して公開する事とした。この見解の正しさを普及させる事が現下のデフレからの脱却、大不況の克服に資すると考えています。勿論著書を購読して理解してくれるのが一番良いと思います。
第2章 デフレ発生から15年、日本経済を検証する
-政治家と財務省が採った政策の失敗-
日本に蔓延する空言・虚言は続く
この章は1991年のソビエト崩壊後、米国の戦略の標的になった日本経済に起こった顕著な出来ごとを政策により明確に説明してくれています。
・デフレの原点は橋本財政改革
→ 現在の日本のデフレは1998年に始まり15年継続した長期デフレである。「1997年度から消費税を3%から5%に引き上げ、所得税の特別減税を廃止した事」と同時に「財政支出を削減し、5年後に財政赤字幅を名目GDPno3%以内にする事を法制化した増税緊縮財政で国民から13兆円の資金を奪いバブル崩壊からの復活を打ち砕いた。
・金融危機による信用収縮でデフレが始まる
→ 1992年から自己比率規制(BIS規制)を守る事を義務付け「8%以上の自己資本」を要求。大手銀行19行は株価下落に伴う自己資本減額分の12.5倍50兆円の貸出を回収しなければならなくなり、1年間に46兆円を回収し大幅な信用収縮を惹起した。
三洋証券・山一証券・北海道拓殖銀行等が破綻。
財務省は「粗債務」で財政危機と誤認
→一国の債務には「粗債務=借入総額」と「純債務=ネットの債務」があるが 国際的には両方の記載がある。しかし財務省がマスコミに「粗債務」しか発表しないので多くの国民は「政府債務と言えば粗債務」しかない」と思わせている。しかし財務省がマスコミに「粗債務」しか発表しないので多くの国民は「政府債務と言えば粗債務」しかない」と思わせている。1994年に、日本の「粗債務」が80%の時、米国71%、ユーロ地域69%に比べ高かった。しかし「純債務」では日本が20%、米国54%、ユーロ地域43%より遥かに低い健全財政であった。財務省は海外向けには国債の95%を日本国民が保有しているから財政危機では無いと宣伝しており明らかに2枚舌である。「日本の財政は純債務で把握すべき。純債務で見れば日本は財政危機で無い」
→リーマンショック以降で見ても日本は世界一の純債権国なのでドルとユーロに対して円高が進んでいるのです。
→1997年3月、ゴア副大統領が来日、橋本首相に「日本は財政危機ではない。内需抑制策を取るので無く、内需拡大策を取るべき」と進言したが受け入れなかったのが、その後の米国証券会社の日本売りに繋がった。
小渕首相が危機を克服
→1998年7月参議院選挙で自民党惨敗。橋本退陣後、小渕首相は財政構造改革法を凍結し、同年10月の「金融安定化60兆円」金融機能早期健全化法案で金融恐慌を鎮静化した(菊池氏提案、亀井静香議員等自民党の議員連盟の議員立法によったもので財務省は反対だった)。株式の含み益喪失の大手行に公的資金を投入したのだ。1999年の大型補正予算で翌年税収は50.7兆円に回復した。
デフレを法制化した小泉構造改革
→小泉構造改革のスローガン「構造改革なくして成長なし」「公共投資は経済成長に寄与しない」は1980年代のレーガンの新自由主義による政治理念と経済政策である。主なデフレ政策は「財政は引き締め・金融は緩和」。「基礎的財政収支均衡策」「労働基準法改定で実質的に労働者の解雇自由」「時価会計デフレ」であった。
均衡財政政策の導入で財政デフレに
→「基礎的財政収支」は「税収・税外収入の範囲内しか支出しない」という均衡財政の考え方。1980年代後半レーガン、父ブッシュの「数値目標と期限付き均衡財政政策」は共に失敗だったのに。アルゼンチンを国家破綻させた政策でもある。
→日銀に金融緩和させ円安誘導し、輸出バブルを起こす政策だった。輸出企業と内需中心企業、大企業と中小企業、都市と地方、個人の貧富等あらゆる格差が拡大し、日本経済全体が弱体化する懸念が的中。2009年度税収は38.7兆円まで激減。国債の金額の方が多くなり、まさに「第二の敗戦」を迎えた。
何故均衡財政を導入したのか
→財務省が橋本財政改革の失敗を無かった事にしてもう一度均衡財政を法制化しようとした。「財政支出を削減すれば、財政赤字が縮小する(昭和恐慌の浜口雄幸首相)」という均衡財政の考え方が今でも財務省に残っている。この財務省の悲願こそ日本経済の体質に合わない間違った政策なのだ。昭和恐慌も米国大恐慌ももたらした政策である。
→子ブッシュが「日本の預貯金を日本に使わせず、余ったカネを米国債や対外投資に向けさせようとした」もの。
→公共投資と社会保障費を削減し、新規国債発行を抑え、金融緩和でデフレ解消が出来ると考えた。
→結果2000年からの10年間で120兆円のカネを絞りだし、米国債を80兆円買っていると見られる。
3度目の基礎的財政均衡策が進行中
→鳩山首相はデフレ解消を優先しようとした。
→菅が2010年6月「2020年までに基礎的財政収支を均衡させる」と決定。野田も継承。消費税増税法案も議決されデフレが進行する。3度目が成功する可能性は皆無。
今では米国の有力な経済学者の殆どが、積極財政論者なのだ!(その2)
(その1)はじめにの要約の続き
「日本を滅ぼす消費税増税 」菊池英博氏著から抜粋。
一度読んで、要点を抜粋しようと思ったが、現在の日本では均衡財政が善 で公共投資は悪と考えてしまう人が多く、これを正そうと思うと丁寧に論述を辿るのが良いと気付き各章毎に公開する事とした。購読してくれるのが一番良い。
第1章 日本は既に平成恐慌である
-均衡財政目標で経済が失速-
日本に蔓延する空言・虚言の代表例
・デフレは人口の減少が原因である。
→「生産人口が減っている」というが、「ヒトが余って就職出来ないのが現状」
→「就職できても非正規社員が多く低賃金で喘いでいる」
人口減少には投資を増やして生産性を向上させれば全く問題ないのだ。
→ドイツは先進10カ国の中で最も人口増加率が低いが日本より遥かに高い成長率を示している。
→経済が成長すれば人口も増える。第2次大戦後のフランスはド・ゴール大統領が政治と社会を安定させ第2子から子供手当を支給し子供を社会的に共同して育てるという理念を国民に植え付けてきた。
・新自由主義をもっと徹底させる構造改革が必要である。
→新自由主義で国民をこれだけ不幸にしながら、更に国民の富を収奪する意見である。
→新自由主義の根幹には、人間性の否定があり、ヒトをモノ・カネと同一に扱い、必要な時に「安く買い」、いらなくなったら「捨てる」。
→新自由主義が日本人の心を砕いている。
・公共投資は経済成長にプラスにならない。
→「小泉構造改革」の時に小泉・竹中が主張しマスコミが宣伝した文言。これが日本をデフレに追い込んだ。勿論無駄な公共投資は止めるべきだが。デフレ脱却の為、政府がリスクを取って投資をし、民間には投資減税の恩典を与えて民間投資を誘発するしかない。
→新自由主義で米国がデフレにならなかったのは、軍事費という公共投資のお陰。
→「生活に直結した公共投資」でデフレを解消する方向を示し民間投資を誘発する政策が必要。デフレ解消は政府投資が決め手。
・日本は財政危機である。
→「日本は世界最大の対外純債権国」であり、円は世界中でもっとも心配のない通貨であると思われているから円高が進んだのだ。
→財務省がいう日本の債務は「粗債務」(借入総額)であって、政府が保有している金融資産を「粗債務」から控除した「純債務」でない。
→海外では日本が財政危機だと思っている国はどこにもない。「対外純資産が250兆円もある世界一の金持ち国なのに、自分の国の為に自分の国の資産を使わないでデフレ政策を採っているから税収が減っているのだ」(愚かな国ではないか!)。
→日本は財政危機ではなく、政策危機である」と思っているのだ。
・緊縮財政を徹底すれば財政再建になる。
→「デフレ継続・成長放棄の増税」派=財務省・日本銀行・大企業・財界・連合。「デフレだと金利が低いので国債発行コストは低く抑えられる。デフレは継続した方がいい」という論拠。この派を支えている考えが新自由主義。これだと第2弾、第3弾の消費税増税が必要になる敗北思想だ。
・消費税を30%まで引き上げるのか!?これ以上の成長は出来ないから消費税を上げる。消費税増税以外に財源はない!?
→消費税増税→デフレ一段と進み税収不足→さらに消費税増税を繰り返す事になる。
→DEMIOSモデルでは消費税増税5%で名目GDPが5年で25兆~30兆円縮小する。日本の経済構造が破綻してしまう。
→日本が消費税導入した1989年から2010年までの21年間で消費税収入の累計は224兆円。法人税は減税(最高税率を40%から30%に引き下げ)とデフレ政策で208兆円の減収。2012年4月には法人税率30%から25.5%への引き下げを実行し更に1兆円減収に。これが「社会保障と税の一体化」の実態である。
→庶民から取り上げた消費税が大企業の利益となる仕組みなのだ。企業間格差、国民の所得格差も拡大する。こんなシステムでは財政再建等到底不可能である。
1973年、1979年の2度の石油危機後の安定成長は積極財政で実現した。余剰の預貯金を建設国債発行で社会的インフラの整備拡充に投資したて経済発展して来たのだ。日本の経済成長は「官民ベストミックス」といわれる「政府投資が民間投資を補完する」経済体質によってなされて来たのだ。しかし橋本財政改革で増税&緊縮財政で一気にマイナスに。小渕首相の景気対策で一旦回復したが、2001年からの小泉構造改革と2002年の「基礎的財政収支均衡策」で失速、デフレが深刻に、税収が激減したのだ。
過去10年間で家計部門の金融資産は114兆円も増加。国内で使用しなかった6兆円と併せ120兆円が海外に流出したのだ。つまり国内ではデフレ政策で資金を使わせないようにし、その7割に当たる約80兆円を米国債購入に充てた。これが小泉構造改革の真の目標だったのではないか。
第2次世界大戦後は「デフレは悪魔の仕業であり、絶対に引き起こしてはならない、人類はデフレと訣別する」ということが共通認識。日本の失業率は1997年3%台、1998年4.1%以降4~5%台で推移。ドイツは再就職後の賃金が半分以下なら失業継続と見做すがこの基準なら10%位だろう。非正規社員は200万円未満だから家庭を持てず子育てが出来ない。一方2010年の大企業の内部留保は総額461兆円。トヨタは2005年から2011年度の6年間で内部留保が9000億円増加。人件費は220億円減少。
<参考>
国民の可処分所得の減少「大増税後の世帯収入別負担予測」
消費税増税前に毎年上がる厚生年金保険料、2012年給与控除の上限設定、子供手当から新児童手当への変更、復興増税による所得税増税が先行する。消費税増税を加えると サラリーマン平均412万円で合計負担率6.4%、金額で26万円の増税だ。
1997年の緊縮増税財政の時は政府が市場から13兆円吸い上げたが、今回はそれを上回る14兆円を超える負担増となる大緊縮財政となり、経済恐慌を引き起こすだろう。
日本は既に平成恐慌
近代資本主義に入ってからの長期デフレは、1925年に始まって1932年に終息した昭和のデフレと1929年10月に始まって1933年に終わったアメリカ大恐慌のデフレである。
15年経過した現在のデフレは20世紀以降の最長記録を更新中。累積デフレ率は21%に達している。昭和恐慌が始まったと同じ時点に来ているのだ。
官民共に投資不足、マイナス成長の原因
現在の日本では、政府投資(公共投資)が小泉構造改革以来ずっと減少。民間も政府も投資が回収超過となり、名目GDPを引き下げる要因となっている。・・・経済活動の根幹は投資であり、日本経済停滞の原因はこの投資不足である。政府投資は2007年から回収超過、民主党政権になって増幅。民間投資は2009年のリーマン・ショックによって輸出関連企業が激減。
・デフレは金融緩和で解消出来る。
「循環型デフレ」であれば金利を下げ、金融の量的緩和をすれば投資需要が出て来て景気が回復する。しかし現在の日本は16年目のデフレであり、日銀が金利をゼロにして量的にも緩和しているのにデフレは解消せず。この間緩和した日銀資金は外資を中心とする証券筋が借り入れて、NY市場で株式や商品市場の投機活動に使われたのである。大きな需要不足と経済力の弱体化(供給能力の減退)が原因である事を示している。日本のデフレはまさに恐慌型であり金融緩和だけで解消は出来ないのだ。
(その3)恐慌型デフレを解消するにはどうしたら良いかに続く。
今では米国の有力な経済学者の殆どが、積極財政論者なのだ!(その1)
-菊池英博氏や藤井聡教授の論説を理解して広めよう-
↑この2人のUstは必見です(クリックするとご覧頂けます)。
菊池英博氏の「日本を滅ぼす消費税増税」の論説を理解する事が大切です。概要は以下の通り。
1.はじめに
2012.8月に成立した消費税増税法案は、法案の附則に「経済状況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め所要の措置を講ずる」という、いわゆる「景気条項」が明記されている事を知っている人は本当に少ない。また「2020年までに年平均経済成長率は、名目で3%、実質で2%程度を目指す」という数値目標も記載されているのだ。
私も含めた反対派の人達は「デフレ解消を優先して後述の政策を採れば税収が増加し、消費税増税なしで社会保障費も賄えるのではないか」 財務省を始め賛成している学者、マスコミが間違っている。歴史的にも証明されていると考えている。
「日本は世界一財源の豊富な国であり、財政危機は壮大な虚構であり、日本は政策危機である」「15年も継続している日本のデフレは、政府財務省が意図的に継続しているデフレ政策が主因、だから税収が増えない」「デフレ政策を転換し、経済を成長路線に戻せば、消費税を増税しなくても、高齢化社会を乗り切れる」
日本経済は既に恐慌型のデフレに陥っており、既に平成恐慌と言える段階に達している。これを克服するには、昭和恐慌や、米国大恐慌の教訓に従って、財政主導・金融フォローの経済政策を取り入れる事が必要。この具体的政策を提示する。
次の4点が大切。
①デフレによる物価下落は大資本・富裕層・官僚等の強者は利得があり継続したいもの。一方若者の就職難・中堅層の生活苦・高齢者の悲惨な状況が強まっていく。デフレは危険極まりない経済社会現象なので、デフレ解消に立ち上がる必要がある。
②「デフレは人口減少が原因だから仕方がない」とか「財源がないから財政支出が出来ない」という世上の意見は全て間違っている。
③今の日本のデフレは恐慌型デフレであり、金融緩和だけでは解消しない。
④日本の輸出産業は大きな転換期を迎えている。海外の消費者への販売は海外生産に委ね、国内は高付加価値製品生産の為の機械と技術の開発に集中すべき。減少する国内雇用は、内需の拡大、内需関連産業の育成強化、新エネルギーの開発といった具体的政策により吸収すべき。
高橋是清、池田勇人、田中角栄といった政治力を備えた政治家が閉塞感に満ちた日本を救うのだが…
安部政権になって金融緩和を打ち出し、財政出動も言及しだしている事が好感を持って受け止められている事は当然である。金融緩和だけに終わらせず、不要な箱物だけでないインフラ整備・更新等の大規模な財政出動が必須である。 それをしながら一時的に景気が好転したからと言って消費税増税を強行したら又恐慌が深くなっていくだけなのだ。この事を諦めずに言い続けます(続く)。
福島原発事故について-その7
「今抱えてしまった大きな問題点」のうち最後となる5番目についてです。
1.東電と政府の損害賠償責任について
2.福島原発放射線の影響と対策
3.福島原発事故の実態解明
4.日本の原発政策の本当の意義とは?
5.日本経済に与える影響と増税の可否
5.日本経済に与える影響と増税の可否
(政府は何故復興増税等という天下の愚策を強行しようとするのか?)
(1)根底にある増税の流れの背景
そもそも何故現在円高なのか?について簡単過ぎる理由を認めようとせず、国民に隠し通そうとしているのが財務省です。理由は只一つ米国財政が破綻の瀬戸際にあるという事実です。
(菅政権はほぼ100%官僚のいいなり政権で野田財務相等は知識も覚悟も足りな過ぎで問題外)
これは今ちょっとおカネが足りないという次元では無く、米国中心の「国際金融システムのシステミック・リスク」であり、リーマンショックで多くの金融機関が 破綻した後の深手がケタ違いに酷い事です。株式市場に大量の資金を投入して立ち直ったように見せかけて来たが、もうこれ以上の維持は難しく、本当の危機は これから始まるのだという事です。
リーマンショックで大きく傷ついたのは欧米であり、日本は比較的軽症だったのでもっと早い段階で円高になるのが当たり前だったが、欧米が一生懸命にお化粧をしていたので今頃顕在化しただけ。日本も苦しいが米国・欧州の方がより崖っぷちなのです。
日本が蓄えて来た1兆1378億ドル(2011.7.7財務省発表)の外貨準備高は中国に抜かれたとはいえ世界第2位の高い水準にある。この一部を売却し日 本の震災復興に充てれば良いと私達素人は皆そう思う。しかし米国の属国である日本の財政の実権はずっと財務省が握っており、彼らは米国に忠誠を誓っている 為か、決して米国債売却の検討を絶対に出来ない。このお金は既に米国に貢いだもので日本人はもう使えないと考えざるを得ないのだ。
888兆円もあっても使えないばかりか僅か10兆円程度の復興財源を全て増税で賄い公務員制度改革(公務員も身を切る)には一切手を付けさせないで国民に全て負担させようとしている。
こんな事は本来は許せないのだが隷米の自公政権やそれ以上に隷米を極める菅政権は米国の意向に決して逆らえないのでこの政権や亜流政権が続く限りやむを得ないのである。
(2)復興税→消費税増税への流れ作り
復興税の内訳は、まだ今後政府の税制協議会で詰めていく段階で詳細は未定。法人税と所得税の増税で広く薄く長くが基本方針のようだ。菅政権の言動を辿り、発 足当初から復興委員会の論議を見れば極めて明快だ。最初は消費税増税を自公と組んで強行しようとしていたが元々根強い党内の反発の上に、大震災に襲われ反 発が更に強まり復興委員会が当初予定していた消費税による復興増税の旗ををひとまず降ろし、当面は法人税と所得税増税で繋ぎ、2010年代半ばに消費税増 税に切り替える腹積もりのようだが今度は財界が反発しており予断を許さない状況が続いている。
日本は1990年代初頭のバブル崩壊以降、原材料の高騰や中国・韓国等手強い競争相手の出現等で貿易等の薄くなった利 幅をコスト削減により凌いで来た。とりわけ人件費を非正規雇用に切り替える事によりより圧縮して利益を拡大してきた。この為国内の貧富の格差が大幅に拡大 している。 ここにリーマショック、東北関東大震災と続いており、ただでさえ困窮しているのに更に消費税増税すれば多くの低所得者の生活困窮に止まら ず、消費減退→失業増大→大不況の到来→社会の大混乱→本格的衰退に繋がっていく可能性がある。
しかし増税が小規模に止まれば秋以降当面は震災復興需要により景気を持ちこたえる事が可能となろう。
(3)増税の前提条件=公務員制度改革先行が必要なのだが…
日本が官僚主権国家だという事はある程度言われて来たが、今回の福島原発事故発生以来その実像が次々に明らかになって来ている。皆が官・政・財・学・報複合 体の利権構造のあまりの強固さ、複雑な絡み合いを知る事となり、その力関係や仕組みが連日twitterやブログ、書籍でより詳細に多くの人達に知れ渡っ て来た。
とりわけ経産省と東電・学者・マスコミによる原発事故原因報道の隠蔽、放射能拡散状況の隠蔽、低線量被曝の危険性隠し、計画停電等電力供給不足煽り、反対者 への圧力強化等でひたすら原発稼働再開に繋げようとする強引さは、連日連夜全て多くの国民がはっきりと目にした事である。
あらゆる手段を総動員して現行体制を守ろうとする姿勢に、彼らに対する恐怖感・警戒感もさる事ながらある種の哀れさが漂うと言ってよい。もう何も見えずに権 限を振り回せばこれまで通り乗り切れると本当に思っているのだろうか。保安院のとかげの尻尾切りだけはやむを得ないと諦めたようであるが。
今や日本人でゆとりが残っている層は縮小しており各分野の一握りの成功者以外残っているのは公務員だけである。この人達が全く自分達の身を削らず、あらゆる利権は手離さず、国民のみに負担を強制する冷酷な人達である事も連日明らかになってきている。
年金原資の行方も話題になりだしている。少子高齢化で社会補償費の抑制も必要だ。制度改革や消費税増税もいずれは避けて通れない課題なのかも知れない。しか し財務省・マスコミの財政困窮キャンペーンは国の資産を無視し負債のみを強調したあまりに幼稚なPRである。もし財務省・マスコミのいうような危機的状況 ならもうとっくに円の暴落になっている筈なのだ。事態は全く逆な事はもう知る人ぞ知る状況で、騙しはもう効かないのである。
将来消費税増税が必要でも、その前に国家公務員の待遇切り下げが先決・必須条件なのでありこの問題を実行出来る内閣の実現が求められるのである。
(4)米国の日本支配進展の深刻さ
ソ連崩壊後米国のターゲットは日本になり、年次改革要望書によって日本経済を支配下におく戦略が続いてきた。2000年以降行き詰まった米国はイラク戦争等 で打開を図るが、逆に更に財政困窮が深まって来た。今は財政再建を福祉切り下げでやるか富裕層増税でやるかで揉めている。軍事費削減は二の次のようだ。
急増する米国債の買い手は中国と日本だけだったが中国も歯止めがかかり、米国財政の破綻を避けるため日本政府への圧力は私達の想像を絶するレベルである事だ けは想像がつく。これに軍事的面からの圧力もあるとしたら私達に対抗手段はあるのか?核の存在が噂される基地と潜水艦に国土を占拠され、日本の実権を握る 財務・外務・防衛・法務・経産官僚全てが日本の首相より米国の意向を重視して揺るがない事務次官に率いられているとすると事態は深刻を通り越しているのかも知れない。
福島原発事故の収拾が事故当初早い段階から米国高官によって指導(実質的には指揮?)されているという情報も人口に膾炙され始めている。
結局日本は米国債の買い支えとドル暴落・円高による債券の価値の大幅減少に見舞われる事は避けられない状況になって来ていると思う。
(5)今後の東電存続の形態と電気料金について
それにしても総括原価方式とは凄い制度だ。これが資本主義である訳がない。コストが高ければ高い程利益が上がる制度なのだから驚きだ。原発投資も大きければ 大きい程いいし、政府・マスコミ・地方自治体への各種支出も原価に入るので接待も広告も懐柔策も手厚くやればやる程利益が上がるようだ。東電も経産省も御 用学者もこんなうまい構造を手離すまいとしてあらゆる抵抗を繰り広げるのも当然だろう。この点はまだ改善論議の俎上にも上っていない。
原子力賠償責任法の修正案(原発の損害賠償支援機構法案)も損害賠償を国民に押し付け国費を無制限に投入して東電の存続を守る仕組みであり本当に許し難い内容だと思う。しかしこの内容はあまりに理不尽である為このまま成立してしまうと不公正過ぎ歪みが大き過ぎていずれ損害賠償や投入する税金の大きさに耐えかねるなど社会に混乱が起きるだろう。
個人的には電気料金を勝手に値上げすれば自衛手段を講ずるしかない。これ迄電力消費が贅沢過ぎたので節電余力は大きく、家計の健全性維持の為にも節電で電気料金を削減する動きが強まるだけだ。いずれ送受電分離や蓄電・自家発電・自然エネルギーへのシフト等で吸収可能で何とか負担増を避けていけるのではないか。
(6)終わりに
Twitter やブログの内容を監視して統制強化を図ろうという経産省・資源エネ庁の試みは失敗に終わるだろう。巨大利権構造と高待遇に安住して来た人達の知的レベル・ 総合的能力が相対的に低くなり過ぎているからだ。採用も偏差値と従順さ血縁でしているようだ。社会の前線で生存を掛けて闘っている人達や各分野で才能を必 死に磨いている人達、豊かでなくても生活確保に命懸けで努力している人達の研究心、身につけたスキルの方が遥かに貴重だと思う。この人達の力を甘く見て、 ただ税金や各種公共料金を絞り取る対象と考えているだけではそうはいかないだろう。
強権で統制・規制と分断を図る官僚達と実態に目覚めた多くの国民の力が結集されて対抗出来るのかどうか毎日見極め乍ら、結集に向け少しでも力になれるようにしていきたい。
尚、 ここではあまり触れなかったが日本のマスコミ情報では「米国経済・軍事・社会の実態について」正しい情報が不足し過ぎている。これからの一両年の米国の動 向は日本に多大な影響を及ばすので激動の方向性・その原因を正確に把握する事が本当に重要な局面になって来ているので心していきたい。
以上
発展中国と好対照の隷米で収奪される日本
私は最近日本の完全属国化を強要する米国嫌いが強まる一方で、それに対抗する極になる実力を備えて来た中国への関心の深まりが顕著になってきている。自立した日本であるにはどうしたら良いか考えると米国一辺倒からアジア重視に軸足を移していく必要があると思う。
<TPP問題>
TPP加盟問題が浮上している。ASEANで菅首相は検討するとシンガポールのリーシェンロン首相に表明したそうだ。クリントン国務長官に前原外相がハワイに呼びつけられて命じられた通りの事だ。この二人の関係を見ていると、つくづく厭になる。挙句の果てに前原は農業はGDPの1.5%だから重要では無いと言い出す始末だ。郵政民営化も改革案が一向に論議されず、前原はクリントンから小泉時代に決めた通りに早くやりなさい!牛肉の輸入再開も早くしなさい!と命じられて「ハイ!わかりました」とだけ答えているようにしか見えない。
とにかく菅も前原も米国のいいなりなのである。国内のコメ農家に与える影響をどうするのかを充分検討してからという発想が無いのが信じられない。Yes Sir(Mam?)!から始まるのだ。こんな姿を毎日見せつけられて厭にならない人は、「米国の100%手下の特権官僚やマスコミ」と同様に自立した日本人では無くなっている事を自覚したほうがいい。
とにかく農家の保護が重要である。今後のTPPの推移を見守りたい。
<中国の勢い>
胡錦濤首席も温家宝首相も米国に対峙している国のトップとしての風格がある。米国の言いなりで無く巧みに強く対抗しているので日本の隷従振りと違い、貫禄も人間性も強く感じ取れるのだ。日本への対応を見ると、米国以外には中国に対してさえ尊大に振舞う前原外相を嫌っているのは当たり前だが、それなりの大人の配慮を残して対応してくれている。
中国経済は2010年GDPで日本を抜いたと言われているが、この数字はあくまでも白の部分(表に出せる数字)での比較であるようだ。灰と黒の表に出ない賄賂等の経済を入れると既に遥かに上回っていると言われる。旅行者として一端に触れる範囲の印象では、それが本当だろうと感じられる繁栄ぶりだ。クリーンでないくせにクリーンを連呼する国とは大違いのおおらかさだ。
今年訪れた、上海も深センも香港も大連も、その発展振りは目を瞠るものがあるのだ。
文化大革命時代の大変な出来事や、共産党独裁による格差や、人権の抑圧、自由の問題や環境汚染等の多くの矛盾はあるのだろうが、日本人に対する感情が日本のマスコミ報道とは大きく違っている事は中国人と直接触れ合った事のある人なら分かっている事と思う。大部分の人は友好的だ。一部の反日デモはあるが日本の在特会や統一教会等が行うデモが多くの日本人の感情を代表していないのと同じ事なのだ。
<今後の国際経済の動向の軸は米中関係>
米ドルの下落は80円を切り75円に向かう事は日本の輸出企業も観念して対策を打っているようだ。米ドル札はリーマンショック以前に比べ2倍程度になっているという。単純に考えれば1米ドル50円になってもおかしくないのだ。これまで中国が米国債を買い支えて来たが、中国は投資先を日本やいろいろな所に投資先を変えようとしている。この米国と中国の攻防が毎日の国際政治経済を見る上で最重要事項なのだ。日本は未だに中国に次ぐ外貨準備を持ってはいるが、それは米国から見ればどうやっていつ奪うかの獲物であるに過ぎない。日本は自立した政治力は殆ど失ってしまっているのだ。
<反消費税・反戦活動の重要性>
とにかく現政権が強行しようとしている消費税増税が齎す国民の疲弊、不況の到来、格差の一層の拡大は極めて深刻な事態を招来するだろう。消費税増税・法人税減税は配当を増やし欧米株主に差し出す貢物なのだ。
なし崩し的な軍事行動の拡大は、憲法9条の有名無実化の完成に近付きつつある。米軍の指揮下で世界中どこでも一緒に戦争をやろうとする日本を目指した菅政権。どう歯止めをしていくのか?
表面的には前原外相が駐ロシア大使を呼びつけて又すぐ追い返す等威張り腐っているが、内実は外務・防衛官僚が実質全てを取り仕切っているので政治家の力は全く無力化しつつあり、小沢氏の政治力後退で、米国・官僚による日本の軍国主義化が急進展している段階だ。
微力でも反消費税・反戦活動は重要だ。この事を言い続け、特定の政党に支配されない草の根の活動・連携が重要である。仙谷がネット規制へ乗り出してくる等の強力な切り崩しが始まるであろうが毅然と対峙していく必要がある。ひとりひとりの行動が大切になって来ている。
「財源はいくらでもある!消費税増税は反対!緊急国民財政会議」
7月4日(日)午後1時から4時(予定時間を延長)
於東麻布。参加者約70名。
経済アナリストの菊池英博さんと岩上安身さんの掲題の会議に参加した。
やりとりの詳細は参加者の一人が纏めてくれていますので是非ご覧下さい。
http://ameblo.jp/garbanzo04/entry-10581753057.html
You-Tube(当日配布された資料も)でもご覧になれます。
当日の内容で重要と考えるポイントを整理してみました。
1.「日本財政」ほど歪曲されているものはない。
1995年が発端で96年の橋本財政改革の閣議決定からずっと財政危機が叫ばれ続けて来たがあれから15年たったが「狼」は来ない。その時点から財務省・自民党の財政の判断は間違っている。これが原点。
今日のポイントは財政について正しい態度を持つ事。何故「税収が上がらない経済になったか」が本当の問 題であるのに未だに「税収が足りない、狼が来る」と怯えている。
一時小渕内閣でムードが変わったが、2001年小泉構造改革で緊縮財政・デフレ政策になった。
2.日本は粗債務ばかりが表に出る。
海外は粗債務と純債務と両方で見る。オバマは純債務で説明している。日本程この2つの差がある国は無い。
3.GDPデフレーターの重要性
景気には消費者物価とGDPデフレーターがある。名目GDPとは個人では額面給与、会社だと税引き前利 益に当たるもの。世帯の給与は100万円減っていて、12年続いている。
4.「税収が減った要因」
(1)緊縮財政
緊縮財政の中身は2001年~2009年で60兆円召し上げた事。内訳は公共投資13兆円、地方交付税交付金47兆円。デフレで緊縮財政を絶対にやってはいけない。アメリカのフーバー大統領と昭和恐慌の(大失敗の)歴史を知っていればこんなことはしない。
(2)金融3点セット=ペイオフ・時価会計・減損会計
時価会計で土地担保の際、地価が下がれば貸出はもっと下げざるを得ない。フーバー大統領はこれで失敗し、ルーズベルトは「緊急銀行法」を発動し時価会計を適用停止した。この条例が60年間93年まで続いていた。米国は「フーバーは最悪」と小学校から教えられる。だから絶対にデフレにしない。それと日本だけ銀行に自己資本規制比率(4%)があるが海外にはない。それで日本は信用収縮が起こり銀行が金を貸せなくなっている。
(3)リストラデフレ
2002年の労働法改悪で経営者は説明すれば自由に解雇出来る事になった。(こんな酷い法制は)日本以外では米国だけである。 戦前の日本ですらそんな事は出来なかったのに。非正規が1/3になった。 年収200万円では結婚も出来ない。
以上3つで社会構造が崩壊したから税収が上がらないのである。
5.財政出動は財政赤字膨張の原因ではない。(むしろ改善の為の良策であるのだ)
2003年までの財政出動は120兆円で真水は40~50兆円であった。それによりGDPの押し上げ効果は100兆円。財政出動をしなかったらもっと酷かったのである。
菅首相がギリシャとの比較をしたがギリシャは国内で賄えずに8割が海外。方や日本は預貯金も豊富にあリ、国内消化率も高い(94%)。この基礎的条件の違いを勘案せず単純に比較するのは一国の首相が言うべき事ではない。(経済規模も1/20)
更に日本は267兆円の純債権を持っており10~15兆円の利息収入がある。ギリシャは逆に利息を払っている。日本は貿易収支も黒字だがギリシャは貿易収支も赤字である。
この所得収支と貿易収支の黒字をいかにして日本経済の為に使うかなのだが、この10年間使っていない。
100兆円が召し上げられて海外へ行っている。この額は小泉構造改革からの60兆円と米国債を買った40兆円と見事に合致するのだ。
6.国税に占める法人税・所得税・消費税の割合
1989年~2009年の消費税税収累計は220兆円。法人税の同じ期間の減収分が200兆円と歴然と消費税が法人税を穴埋めしているのだ。菅首相がブレたかどうかわからないが、消費税とはそんな簡単に上げられるものではない。4年間消費税を上げないと皆が思ったから政権を取ったのだ。それを覆すなら「国民に約束しただろう」と申し上げたい。
7.消費税以外で税収を上げる方法
(1)埋蔵金
「今ある財源」と「経済を成長させていく財源」の2つだがまず今ある埋蔵金一覧を見る。(前田由美子さん分析のもの。日本医師会のワーキングペーパーから。HPもある)2007年度剰余金は42.6兆円ある。
一般会計81兆円の純支出は教育・防衛・公共支出へ。残りの6割は特別会計へ支出される。特別会計には独自に国債・借入金等があり保険料もこちらにある。
併せて209兆円でここからの歳出が168兆円。
★ここに剰余金が42.6兆円!2007年度に剰っている金額であり「財政は黒字」なのだ。
税収51兆円 、国債25兆円、他8兆円。凄いトリックがあるのだ。つまり一般会計と特別会計を同時にみると07年度日本の財政は赤字でないのだ。 この特別会計(07年度)の42.8兆円の剰余金は積立金・翌年繰越・一般会計で1.9兆円回している。09年度は税収が大幅に減って埋蔵金を使ったがそれでも15.9兆円の剰余金が出ている。
決算後の積立金は68.9兆円あるのだ。繰越金と合わせると102.5兆円である。2009年度減っても70兆円位はあるだろう。それもこれは表面に出た数字であり、運用益だけでも2~3兆円あってこうした埋蔵金をどうするか。この中には労働保険等どうしても置いておかなければいけないものもある。
決算委員会で分析して欲しいと菊池さんから民主党には伝えているそうである。
<特別会計=国家の投融資活動の事である。>
その内訳はどうなっているか。(2009年末現在) 粗債務872兆円のうち特別会計分が295兆円で、その原資は国民の預貯金である。
この295兆円のうち185兆円は財政投融資であり政府系金融機関(政策投資銀行、国際協力銀行、沖縄復興金融公庫)を通じ企業・個人・地方自治体・外国政府に融資していて、もちろん元利は返済される。
残り110兆円が政府短期証券(1年未満で返済するもの)である。この政府短期証券を外国為替資金特別会計を通じて1999年10月から日銀が買い取っていた(ここでは財務省の代理人役)。日銀は米国債購入(80兆円位)と日本の大手銀行(三大メガバンク等)に預金する(彼らが借り入れ人なのだ)。このお金が米国政府と預金受け入れ銀行に95兆円ある。
★つまりこれは国民の債務ではないのである。(借入人の債務なのだ)これを政府の債務に入れて消費税を上げる理屈は成り立たないのである。 更に外為特会に積立金、剰余金、繰越金(これらが埋蔵金)が存在するのである。
★国の債務は額面で800兆円余あるがそのうち300兆円は国民の債務ではない。又積立金は200兆円あり、まだ増えているかも知れない。更に社会保障基金が200兆円ある。
(参考)米国の経済政策の推移や日本の成功例等の歴史に学べ
日本は今名目GDPに対して粗債務の比率が高いから危機というが名目GDPが縮小しているから高くなる。債務の増加を上回る成長があれば良いので、それを実証したのがクリントンで、オバマもやろうとしている。日本はずっと米国共和党の政策を取り入れているが米国民主党の考え方を取り入れるべきなのである。
レーガンは「ネオコン」と呼ばれる人達が、フリードマンの新自由主義・市場原理主義を取り入れて法人税(50%→28%)所得税(70%→31%)を引き下げ企業と富裕層優遇をして債務国に転落した。
ポイントは小さい政府、規制緩和、自由化により「双子の赤字」が生じ1995年に債務国に転落した。共和党政策は小さい政府であり国民の税金から社会的に教育や医療に渡す分も少なく、税を安くするので一番得をするのは富裕層と法人である。盛んに言われた「トリクルダウン」や「ラッファー曲線」とも理論としては成り立たなかった。その後のパパブッシュの増税もうまくいかず失敗、再選されなかった。
クリントンはルーズベルトの政策をベースにして政府支出(公共投資、地方、教育に重点投資)で民間投資を引出し8年間にわたり有効需要を喚起し8年間で財政黒字化した。法人税(28%→35%)所得税(31%→39%)にして中小企業には投資減税、低所得層には控除を増やしたので5年で財政赤字を解消し子ブッシュが出た時は財政黒字が3000億ドル位あったが、子ブッシュが又レーガンのようにさげてしまい2008年末アメリカ経済は破綻したと思う。
オバマが又法人税・所得税を増税し、所得の再配分を控除の仕組みの中にいれた。今、緊急で2年で100兆円を投入している。亀井さんは3年で100兆円を推奨している。
日本の民主党にお願いしたいのはアメリカ民主党政策をもっと取り入れて欲しいという事だ。経済学は難しい学問ではない。どういう時にどういう政策を打ったら良いかは歴史が教えてくれる。アメリカ大恐慌を解決したのはルーズベルト(1933年3月3日に就任)。ケインズ(一般理論出版は1936年なので)から学んだ訳ではない。
一方日本の1930年からの金融恐慌には高橋是清が財政金融一体化で解決した。世界で最初に恐慌から脱出した成功した歴史がある。
(2)成長戦略
財源は2通りある。公務員改革も大切だがその前に、
★現在の余剰金を国家に返納し財源として建設国債も発行出来る。
米国は30年代の不況時に高速道路や地下鉄等社会インフラを整備した(NYの地下鉄は都心から60Km、それも複々線で走る)。日本は通勤地獄解消も必要。病院の整備も米国はキチンとやっていた。クリントンの時代に鉄道を強化している。オバマも最近新幹線を作ろうとしている。
経済は民間だけで難しくなると政府が手を出す必要がある。それを3~5年、10年計画でやっていき、地方も強化する。
★小野善康教授の増税して成長分野に等の説は政策面を良く知っている人は賛成しない。消費税増税なら大間違いで成長なんかに繋がらない。消費税増税が成長に繋がる訳がなく国民の所得を奪って政府に付け替えるだけだ。
米国では1932年にフーバーが失敗している。石油税・ガソリン税が効き1929年に比べ32年は所得は半減し、株価は9割減となってしまった。菅首相のいうように集めて返しても集めた効果(悪影響)の方がずっと大きい。総選挙後そういう事は常識的にもやらないんじゃないか。だんだん歴史に学ぶ賢者が出てくる事を期待したい。
G20の共同声明で日本だけが財政健全化対象外にされた意味は、
★IMF理事長が「日本には財政危機という兆候が無い」と見ているからだ。
世界的流れからいって債務圧縮はこのままうまくはいかないと思う。リチャード・クーがニューズレターで「ヨーロッパ各国で財政を引き締めるとマイナス効果が大きい。ユーロの価値にも影響する。この際政府債務を増やしても雇用を」といい事を言っている。アメリカの財務長官は「緊縮でなく景気振興策」をと言ったそうだが、そう思う。
日本も民主党が割れるかという心配とは別に事実に基づく適格な政策判断が出てくると思う。消費税はアレルギーも強く悪影響も大きく実施出来ないのではないか。法人税引き下げにも反対だ。
クリントンやオバマのように需要喚起とともに最高税率を上げる必要がある。法人税引き下げは国際競争力を上げる為というが、既に十分競争力があるから輸出超過になっているのだ。★消費税の問題点の一つは、輸出大企業は輸出すれば税金が還付される。50%輸出とすれば減税され利益になるのだ。
経団連の大企業役員が株主総会で従業員還元したいといったら、そうでなく株主配当にしろといわれたらしい。
★基礎年金の税方式を言っているのも外資である。
企業では半分が企業負担であり全体で4兆円負担している。外資は配当金を増やし社会的コストを下げさせようとするので基礎年金を税負担にすると企業負担がなくなるのである。この「税方式」は経団連と経済同友会が主張している。
「私は決して反米ではない。米国が好きだ。米国はマスコミの議論も日本より数段進んでいる。NYTでクルーグマンが毎週ブッシュ政権を批判していたのにノーベル賞を貰っている。米国には議論を戦わせる余地がある。「日本のマスコミはまさに北朝鮮なみ」で台湾・韓国が遥かに上と欧米から言われているのである。
8.他のゲストの話
臨席の二見伸明元大臣は消費税が3%から5%になった時、消費税分は4兆円増税になったが、税収全体では2.7%ダウンした。それが原因になっていまに続いている。簡単に上げてはいけない。税制の抜本改革というがこれまで何も抜本改革されていない。政権が替っても官僚が替っていないのが問題だ。
名古屋から来た荒川税理士は、菅首相の言う低所得者対象の戻し税はまず導入してから対象を絞り込むだろう。かつての簡易課税もそうだった。又納税者番号制の問題もある。還付するために番号をつけると言ってくる。大変な手間がかかる。複数税率にしても食料品非課税(軽減)ならレストラン経営者は?など不明確な所が多い。
9.参加者の質問
<郵政民営化についてのご見解は?>
最初から反対だった。野口悠紀夫さんは「民営化はアナクロニズム」としていた。元々米国からの要望で94年のクリントン時代から規制改革要望書が出ていた。
この300兆円を民に回して活性化というが完全に間違っている。小泉構造改革の議論をしている時、民はお金が有り余っていた。使いようがなかった。2000年~09年で民間銀行の貸出は国内で50~60兆円減って、海外は90~100兆円増えている。主としてメガバンクが地方から貸し剥がしをして、海外に持っていかざるを得なかった。05年頃から激しくなった。国内はデフレ政策で海外に貸出した。要するに大前提が間違っている事が立証された。
★郵政民営化の実質は「官から民へ」でなく正しくは「民から海外へ」というべきであろう。
亀井元大臣は 「米国債は買ってあげるが、ちゃんと表から言って来て」と言っていたし、仙石に対しては「2周遅れ」と 言っていて、なる程と思ったとの事。
郵政改革法案の民主党案は原口案で大塚副大臣の所で10回以上検討して議事録もある。「生活が第一」なら国内で使わなくては。地方にはハブ空港もない。社会基盤の再構築が必要である。菅首相も「社会基盤が充実すれば豊かになり税収が上がる」と言った。この元は神野直彦氏の「分かち合いの経済学」でありこの本は必読書だ。
<みんなの党は郵政資産を売却すると言っているし、又政府紙幣発行を主張しているが?>
政府紙幣発行は尋常な考えではなく反対。歴史的にも混乱するだけだった。一方日銀が国債を持てばただで発行出来る。
昭和恐慌の時国債を発行し日銀が買い取っていた。これは即効性があり金利は半分に。
米国大恐慌の時は政府が新国債を出し、FRBが市中の既発債を買い上げ実質引き受けしていた。金を持っていた事もあり14年間短期・長期金利の利回りは変わらなかった。
★日本も100兆円の補正予算を組んだら良い。
1999年9月までは政府短期証券は日銀が買い取っていた。今は政府短期証券100兆円を市場で金融機関が買って外貨準備になっている。だから国内に金が回らない。米国債は現実には売れないのでこの100兆円召し上げられて国内で回らない。この預貯金を原資に建設国債を発行し日銀は市中の政府短期証券を買えば帳尻があって預貯金が建設国債に回る。これで1999年の前の姿に戻る。
金利は日銀と明約を結んでおけば良い。2月23日日銀総裁と会ったが政府が有効需要を喚起していくのは政策上可能としていた。
デフレの時財政を絞めて金融だけ緩めるのが小泉・竹中の悪さ。金は投資銀行に集まったが10年経ってもデフレは解消しない。日銀が金融を緩めると良いというが有効需要を喚起する政策が無ければ海外に行ったり博打になったりするだけだ。日銀が慎重なのはかってのマネタリストの失敗があるからである。
<学習会の出前要望?>
貧困について活動しているが、経済について分からなくて貧困が続く。これで消費税が10%になったら殆どの人が死んでしまう。国民会議を出前して下さい。
<給与を増やすのに財政政策が使えないか?>
自見議員(今金融相)が3月4日衆議院予算委員会で韓国では正規職員を雇ったら税額控除を検討していると言っていたが韓国の国会を通ったようで菅首相も検討すると言っていた。
10.クロージング
大学で教えていると若い人は未来に失望している。その根本は緊縮財政にある。日本は金持ち国家で267兆円も貸しているというと「そんなの初めて聞いた」と言う。みんな日本は借金国だと思っている。
マスコミは対外債権国だと一切書いていないのが大問題である。「そんなにお金があるのにどうして日本で使わないのか」国債だってちゃんと発行すれば良い。政府が潰れないやり方はいくらでもある。
政府投資でデフレ解消、非正規社員を法律で全廃がいい。亀井元大臣も郵政で正規社員を増やそうとしている。2000億円かかるが安いものだ。結婚も出来るし、消費もする。住宅もでしょう。税収があがらないのは非正規が増えている為なのである。
ここからは私の意見・感想です。
今回約3時間の会だったが菊池先生の見解を岩上さんがうまく引き出してくれて、時宜を得た密度の高い会議になっていた。これまで先生の「消費税は0%に出来る」の著作と、岩上さんとのYou-Tube は見ていたが、生でお話が聞けて 本当に認識の度合いが深まった。又、日本と米国の財政の関連と郵政資金の関連について質問させて頂き実に懇切丁寧な回答も頂き感謝している。
★この内容はとっつきにくいかも知れないがそんなに難しくない。多くの心ある人達がこの問題をキチンと理解する事が日本の将来にとって本当に重要だと思う。
私は今の菅首相の消費税増税に関する発言に強い憤りを抱き、このまま菅内閣が続いたら参議員選挙後早期に解散し消費税率アップを言う自公やみんなの党と結託して消費税率を上げ、日本の中小企業・低所得者・年金生活者等に取り返しのつかない打撃を与えると強く危惧していた。その悪影響は利益を得るかに見える既得権益者達にもいろんな形で及ぶ事になると思うのだが。
しかし菊池先生はもう少し 日本人全体の資質に信頼を置いておられるようであり、消費税増税は簡単には実現しないと見ておられた。もしそうだとすると嬉しいのだが、このまま傍観していれば良い結果にはならないと思う。
★私は自分の知識レベルの確認も兼ねてブログを立ち上げたばかりであるが、この内容は出来るだけ多くの友人知人に送信してみようと思っています。
日本の財政は国際対比では健全でまだ危機ではない。
最近YouTubeで岩上安身氏による菊池英博氏へのインタビューを見ました。20余のパートに分かれて合計2-3時間もかかり2日に分けて視聴しました。菊池氏は09年7月「消費税は0%にできる」をダイヤモンド社から出版しておりそれを読んで心から共感していたので、改めて国民生活の基盤である日本の財政状況や税制について大切な基軸を再確認させて貰える良い企画でした。
<インタビューと著書のポイント>()内は私の追記分です。
①消費税引き上げは外国人投資家の要望に添った「法人税引き下げ」のためであり、決して「社会保障」充実のためではない。消費税導入後通算で200兆円を徴収したうち「法人税減税」に約150兆円回しているようで、米国の要望に添って投資家への配当が厚くされただけなのである。 (そして社会保障は小泉構造改革でむしろ減額の対象にされて、庶民や高齢者の生活を直撃したのはご承知の通り)
②国の債務は「純債務」で見るのが国際的な常識なのに財務省は意図的に「粗債務」で日本の財政が危機的であり財源が不足だと嘘を言い続けてきた。粗債務のみ見れば巨大だが、そこからから資産を引いた「純債務」で見ると日本の財政はまだまだ健全なのである。 (それでも危機ラインは大分近づいてきており要警戒レベルであるが)
③経済政策は1930年頃の大恐慌やそれ以降の歴史に学ぶべきである。当時の日本政府のとった金解禁や、橋本行革、小泉構造改革の失敗を繰り返してはいけない。日本復活の為には市場原理主義を一掃し、基礎的財政収支均衡目標と金融行政3点セット(ペイオフ、時価会計・現存会計、自己資本比率規制)を凍結・廃止して「輸出大国」から「社会大国」に転換すべきである。
以上の要約では足りないので、豊富な内容をより詳しく正確に理解する為是非YouTube(http://www.iwakamiyasumi.com/)と「消費税は0%にできる」(まだ3万人しか読んでいないらしい)をご覧下さい。
<私の意見>
この①-③の3つを日本の常識にしていきたいと思う。米国資本や経団連・同友会にのみ忠実で未だに誤った新自由主義の影響下にある財務省に騙されてはいけないのである。消費税増税が許されるのはいずれ景気が回復し高級官僚の天下り特権等の公務員制度改革がある程度実現して、社会保険料も税金の一部と見做して国民負担の本当のレベルを正しく国際比較した上で、食料品等の軽減税率も取り入れたものにしてからでなければ国民生活の安定には繋がらないのである。
あのまま自公政権が続いていたら2011年には消費税率アップが実行され、国民生活が破壊される可能性が強かったのである。このデフレの酷い時に逆進性の強い消費税増税はありえないのである。民主党政権になっても財務官僚の力は強いままであり、相変わらず早期の消費税アップを狙い続けているようだ。仙谷国家戦略相や前原国交相等7奉行は小泉前首相と同じ隷米の新自由主義者であり、消費税増税・法人税減税に傾きがちである。菅財務相も菊池氏の話も聞くが他の学者の意見にも影響されているようでありまだ安心できない。
菊池氏は先の国会でも公述人として素晴らしい発言をしてくれているが、民主党がこの意見を踏まえた政策になるよう見守る必要がある。これが国民の生活を守る最も大切な基本知識の核の一つであると思う。
朝日、日経を中心に全てのマスコミが財政再建のため早急に消費税を上げるべきと言い続けて民主党政権を批判している。彼らが現在の金持ち優遇税制の恩恵を受けている事と、マスコミの持つ既得権益を守りたい為と、株主・スポンサー・特権官僚達の意向を受けてのものであろう。一般の国民の事は恐ろしい程考えていないのである。それに加えて本当に勉強不足の人達である。テレビのキャスターもコメンテーターも一部を除き驚く程無知で傲慢な人達しか出さず、新聞を売る為に政局作りのみに忙しく、政策を深く論じない。正しい知識の深い人達が冷遇されているのである(官房機密費を貰っていた人達は全く論外で軽蔑すべき存在である)。
今この岩上氏等多くの実力の高いジャーナリストや学者・実務家達のご努力のおかげでネットで良質な情報が豊富に得られる時代になっており本当にありがたい。テレビ・新聞を殆ど見なくなって時間も余裕が出てきた。良書を読み、しっかり理解を深めた上で、皆で良い政策作りに参画していきましょう。それが本来の民主主義に繋がるのだと思っています。